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「ハ…ル?」
「っち、逃げるぞ」
フードをかっぶった男はまた、私の手を引き走る。
背後から聞きなれない機械音がする。
気になって振り向くと
正方形の見慣れたハルの両側から手のようなものが伸び、そこに持っているものは先ほどマリが手にしていた゛ソレ”に酷似している。
゛ソレ”を理解すると同時にハルは何のためらいもなしに引き金を引いた_
マシンガンのように放たれる銃弾。
路地裏に轟く銃声。
その中を駆け抜ける私とフードの男。
すべてが非日常過ぎて何が起こっているのかわからない。
頭が理解しようとしていないのかもしれない。
今起こっていることが全てスローモーションのように感じられた。
_ブシュッ
急に痛みを感じここが現実であると思い知らされた。
右足のふくらはぎに一発弾が貫通したようだ。血が流れている。
「由衣!」
フードの男が撃たれたことに気づいてくれた。
ごめんね…。
せっかく助けてくれたのに…。
恐怖と貧血で私の意識は薄れていく。
フードの男が何か言っている。
ありがとう。カイト。
あれ?
なんで私あいつの名前……
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