1095人が本棚に入れています
本棚に追加
/270ページ
「やはり簡単には落ちないか。だが確かにお前の言うことも一理あるな。
よし! 作戦変更だ」
「は?」
長谷川は目を丸くしている悠李をそのままにテーブルまで戻ると、ノートパソコンを閉じて手にした。
そして、
「じゃあ悠李、続きはまた今度な」
とだけ伝えると、さっさとリビングを出ていってしまった。
間もなく呆気にとられたままだった悠李の耳にも仕事部屋のドアが開閉する音が聞こえてきて、そこで漸く悠李も肩の力を抜くことが出来たのだ。
「何だよ、女より気に入ったって」
悠李は呟きながら長谷川の熱のこもった視線と、大胆で繊細な口付けを思い出していた。
─冗談……だよね?
悠李よりも遥かに大人で何でも意のままに操れそうな長谷川が、何の取り柄もない自分に興味をもったという事がどうしても信じられなかった。
「それに続きはまた今度って……。
あれより先に進むつもりなのかよ?」
小さな不安が胸の奥に渦巻いたが、長谷川にまた揶揄われているだけだと言い聞かせ、既に普段の大きさに戻っている自分の股間を見た。
「ったく……。見境なく勃つなよな」
最初のコメントを投稿しよう!