7 男の嫉妬にご用心

2/31
1095人が本棚に入れています
本棚に追加
/270ページ
あれ以来、長谷川が悠李の側にいる時間が妙に増えている。 ある日は買い出しに出掛けようとしたところで「付き合ってやる」と勝手に付いてきて、それだけでも驚きなのに「持ってやる」と頼みもしないのにスーパーの袋を持ってくれた。 またある日は「明日有給を取ったから、ちょっと付き合え」と突然言い出し、気づけば房総までドライブして、旬の食材をたっぷり使ったランチをご馳走してくれた。 またそれまでの長谷川は、風呂や食事を終えるとさっさと仕事部屋へ籠っていたのに、ここ最近は悠李が片付け終えるのを待って「就活はどうだ?」「今日は何をしてたんだ?」と話し掛けてくるようになった。 そんなあからさまな態度に初めのうちは警戒心を強めた悠李も、元々が長谷川にもっと構ってもらいたかったわけだから、この状況にいつの間にか充足感を味わい、長谷川の帰らない日や仕事部屋に籠ってしまう時間は物足りなさを感じるようになっていった。
/270ページ

最初のコメントを投稿しよう!