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そう。当時の私は社会規範など屁とも思わないくらいに屈折し、狂気に取りつかれていた。
私の車を見つけるや否やヤンキーの馬鹿どもが降りて来て因縁をつける。
「危ないことさらすやないか。おっさん。」
それには一言も答えず、先ずは一番弱そうな相手に得意のローキック。骨折しているかも知れない。
「痛い。痛い。」
ヤンキーがうずくまる。
「文句あんのんか。次は誰の番じゃ?」
すると少し強そうな奴が胸倉を掴みに来る。
「何さらすねん。」
催涙スプレーを噴射した後で古武道の技が炸裂する。場合によっては、その前に前蹴りを金的に入れる。
「おー。痛い。痛い。」
その後、玩具の回転リボルバー式の拳銃を出し、その銃口を一番強そうな奴の口へねじ込む。
「わしはなあ。アフガニスタンで人殺してきてなあ、それからは殺さずにはおれんのや。この中には弾が一発入っている。もしもそれが出てきたらお前は死ぬんや。ロシアンルーレットや。死ね。」
「こいつ、キ○ガイや。警察、警察。」
まるで負け犬がキャンキャンと言って退散するように、チンピラは車に逃げ込む。
そして、すぐに自分のクラウンに乗って逃亡するのである。
このような時にその蛇女と知りあった。
そして何度かデートをしたが、どうもこの女、私をラバーズと勘違いしているようであった。
女は言った。
「○○さん(私の本名)、フランス料理を食べに行きませんか?」
「ああ、いいよ。」
別に断る理由もない。行った。
一緒にフランス料理を食べたが、私の視線は彼女の顔に釘づけになっていた。とてつもない厚化粧である。特に顔の白粉は吉原の花魁のようであり、それが崩れ落ちないか心配でたまらなかった。
当時は職場復帰を控えていたのでパンチパーマも剃り込みもしてなかった。
私が「怖い人」であるとは思っていなかったのであろう。
その後も女はしつこく付きまとった。
「○○さんが行っていた教会へ行きたい。」
連れて行った。
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