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成績優秀、スポーツ万能、高校時代はサッカー部でエース。
どこで間違えたのか。
このブラック企業に入社して、はや3年が過ぎていた。
俺の名前は杉原諒太。
21歳水瓶座のA型。
地元にはコンビニが1つある程度の田舎で育った。
近所のおばちゃんから『諒太くんは将来有望やな~』と良く言われた。
まんざらでもない母親の笑顔が今でも脳裏に焼き付いていた。
今ではその笑顔を見ることはなかった。
『諒くん、朝よ~。』
無造作にそして乱暴にドアが開かれた。
机の上の雑誌が音を立てて崩れる。
婚約者の坂下めぐみだ。
訳あって先月から実家で同棲している。
母親の笑顔を消した原因だ。
そう。
あれは俺の人生最大のミスだった。
時は3ヶ月前。
一枚のハガキが届いた。
母親が珍しくドアをノックしたのを覚えている。
『諒太、同窓会のハガキが来てるよ』
『同窓会?』
俺は左手でハガキを受け取った。
右手のタバコがユラユラと煙を上げた。
ハガキは中学の同窓会の誘いだった。
俺は何気なくハガキに書かれた幹事の山本に参加の旨をメールした。
同級生に山本は2人いたが、どちらか分からなかった。
どちらにせよ、影の薄い奴だった記憶だ。
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