第1章

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『久しぶりだな、ホケ!』 俺の声のトーンが1つ下がった。 それは明らかに目下の人間に対するものだった。 サッカー部でエースだった僕と万年補欠のホケにはそれだけの差があった。 役者が揃った。 初恋の相手、村上裕子。 俺の存在を際立たせる補欠のホケ。 俺は絶対的な成功が目の前に転がってきた事に胸を躍らせた。 同窓会が始まり、まずはホケのダメっぷりで笑いをとる事にした。 ホケがいかにダメなやつで、俺がいかに凄かったのかを熱弁した。 俺の話に村上は手を叩いて笑った。 時にはおしぼりで目元を拭う仕草をした。 俺は有頂天になった。 実る。俺の初恋が何年越しかに実ると確信した。 ホケにアイコンタクトを送り、僕をよいしょさせまくっていると、いつの間にか同窓会の終わりの時刻が近づいていた。 『この後、どうする?』 俺はグラスを口に運びながら冷静に言った。 まるで、まだ飲みたいなら付き合うよ的なスタンスだった。 『んー。堀家くんはどうする?』 村上は堀家に聞いた。 『任せるよ~。』 堀家は終始ニコニコだった。 『じゃあカラオケでも行く?』 俺は気だるそうに言った。 みんなが僕の意見に賛同して同窓会が終わろうとした時だった。 『もう終わりー??』
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