2.真夜中のミーティングまで

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2.真夜中のミーティングまで

 ツバサは、今34歳。結婚のデッドラインは、刻一刻と近づいている。今日も婚活パーティに出席予定だ。俗に「肉刺しパーティ」と呼ばれている会合だ。29歳(ニク)の女性と34歳(サシ)の男性が対象となっているから、「ニクサシ」と言う訳だ。実際に肉の刺身が出てくるわけではない。崖っぷちの男女が焦って相手を探して、果たして本当に相応しい人を見つけることができるだろうか?  くじ引きで決められた席、真正面にはミオという鼻筋が通って目の大きい、ツバサ好みの女性が座った。コンタクトの制限時間は15分。首から下げているネーム・プレートにはチップスが組み込まれているので、お互いスマホを翳して相手のプロフィールを確認する。ミオは、それを見て、直ぐに質問する。  「LGBTに興味があるの?」  「うん、学生の時、少し研究しようとしていて。」  「詳しく知りたいんだ?」  「そうだけど。」  「今日、私たちのミーティングがあるんだけど、来ない?」  ツバサにとっては、願っても無いチャンスだった。こんな美人で、しかもLGBTの研究グループに属しているなんて、そんな旨い話、あっていいのか?彼は、ミオの同意を得て、スマホで事務局に会場外でのアフターを申請した。パパパパーンってファンファーレの効果音がして、DJが「おおっと!早くもカップル誕生だ!」と叫んでいる。周りの大袈裟な声援を浴びながら、二人は退場する。  「俺で、本当に良かったの?ろくに話もしてないし。」  「第一印象よ。あなたは、私たちの同志になる人だわ。」  「同志?」  ツバサは、キョトンとしながらも、彼女の後を追いかける。  「そのミーティングって、これから?」  「いいえ、午前零時から。」  「そんなに遅くに?」  「それには、理由があるの。これからボックス・カフェに行ってお話しましょ。」  ツバサは、ドギマギした。初めて逢った女と外部から見えない、音も遮断されたボックスに二人きりになるなんて。しかも、この美人。もしかしてキスくらいまでさせてくれるのかなぁ?どういうつもりなんだろう?まあいい。彼女から誘ってるわけだし、どこまで接近していいか、探りながら話をしよう。どうせミーティングまで時間があることだし。  「ねぇ、二人になるってどういうことだかわかる?」とミオが意味深なことを言う。  「二人の秘密を作るのよ。」  「?」    
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