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「二人共、留守番と宿題はちゃんとするのよ?それじゃあ、行って来るわねぇ♪」
「お土産は定番の[アレ]を買って来るからな。」
「分かった、[いつものアレ]ね?行ってらっしゃい!!気を付けてね!!」
「・・・なぁ?[アレって、なんなんだ?]」
GWという大型連休の二日目。
お父さんと紗綾さんは新婚旅行に出掛けて行った・・・[私達二人を新居に残して]。
お父さんが生活費とは別にいつもより多くお小遣いをくれたのは、きっとこの為だったのね。
「えっ、知らないの?アレって言ったら、[現地のお菓子]に決まってんじゃん。」
「・・・アレの範囲が広すぎて、どう突っ込んでいいのか分かんねぇよ。」
お父さん達を見送ってから家の中に戻ると、風雅が呆れたようにため息を吐いた。
・・・私とお父さんでしか伝わらない事だったのかな?
「風雅、お昼どうする?何か食べたいのがあるなら作るけど?」
「まぁ、特にねぇけど・・・冷蔵庫にある物で適当に作ればいいんじゃねぇか?」
「[作る側にとっては一番面倒臭い返答]をありがとう。そうだなぁ・・・じゃあ、簡単に野菜炒めでいい?」
っていうか、その前に・・・冷蔵庫の中身が異様に少ないから[それしか出来ない]。
そっか、昨日引っ越して来たばっかりだもんね。
「ねぇ、風雅?後で買い物に付き合ってくんない?このままじゃ、[夕飯食いっぱぐれちゃうぐらい、冷蔵庫の中身が乏しい]んだけど。」
「・・・どうせ、暇だから別にいいけど。」
「っていうかさ?普通、引っ越した翌日に旅行なんて行く?しかも、私達を置いてだよ?有り得なくない?」
「まぁ・・・ああ見えて[二人共、仕事が忙しい]から・・・仕方ねぇんじゃねぇか?俺達ももうそんなにガキじゃねぇんだし・・・少しは大目に見てやれよ。」
「そうなんだけどさぁ~。折角の連休なんだし・・・私もお父さんに何処か遊びに連れてってほしかったんだけどなぁ~。」
ブツブツと文句を言いながら、昼食を作る。
お母さんが亡くなってからは[家事や炊事はお父さんと分担してきた]のだ。
野菜炒め程度ならパパッと作ってしまえる。
私、[将来は良いお嫁さんになりそう]じゃない?
まぁ・・・[いつなれるかは分からない]けれど。
「そんなに言うなら・・・明日、どっか出掛けるか?」
「えっ?珍しいね、風雅がそんな事言うの。」
二人で昼食を食べていると、風雅がボソリと言った言葉に驚いてしまう。
風雅は[私と似ているところがある]から・・・こんな大型連休の日は[私と同じで]家に引きこもりたいのかと思っていた。
珍しい事もあるもんだなぁ~。
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