お土産は定番の[アレ]で

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「それじゃあ、あたしは一足先に帰らせてもらうわね?今日は楽しかったわ、誘ってくれてありがとう。二人共、またね。」 「えぇ~、もう帰っちゃうの?」 「・・・・・・またな。」 ランちゃんは夕方から家族と出掛けるらしく、世間一般で言うところのおやつの時間・・・十五時には遊園地から去って行った。 ランちゃんが帰った事により、私は遊園地で風雅と二人っきりになってしまう。 ・・・・・・[二人っきり]? 「なんかさ・・・この状況って[私達、デートしてるみたい]だよね?まぁ、風雅は私とデートなんて嫌かもしんないけどさ。」 「・・・・・・?!」 「・・・・・・・・・風雅?」 私が[何気なく言った言葉に]風雅は勢いよく顔を逸らした。 ・・・・・・私、何か変な事でも言ったっけ? 「風雅?どうしたの?」 「・・・なん、でもない。」 右手で口元を覆う風雅の顔は[若干赤くなっている]。 今日は天気が良いから、暑さにやられてしまったんだろうか? 「顔赤いよ、風雅?少し木陰で休んでく?」 「・・・気にすんな。それより・・・お袋達に何か土産でも買って行くか?」 そう言って、風雅は目の前のお店を指差した。 遊園地では定番のカチューシャや限定のお菓子なんかを売っているお店だ。 フフフッ・・・ならば、定番のアレを私がお父さんにも買って帰ってあげようではないか。 あぁ、私はなんて親孝行なんだろう。 いや、この場合は・・・私[達]、かな? 「そうだね。お土産、何買って帰ろうか?」 そして、私は[風雅の手を取って]歩き出す。 風雅が一瞬、ビクッとした気がするけれど・・・私はそんな事など気にせず、スタスタと目的地へと向かった。 店内の涼しい風でHPを回復させつつ、風雅と一緒に遊園地でのお土産を選ぶ。 さてさて・・・どんなお土産がいいかなぁ~? 「ねぇ?コレなんてどうよ?」 「・・・・・・[どんな嫌がらせだ?]」 手に取った物を見せると、風雅は微妙に顔をしかめた。 ・・・そんなにセンスないのかな、私。 「えぇっ?!コレ、可愛くない?あの二人、新婚なんだしさ・・・[ペアの物]でいいじゃん!!」 「新婚は新婚でも・・・[あの二人は再婚]だからな?いい年した大人が[若者向けに作られたペアの物]を喜ぶと思うか?・・・[いい年した大人]が。」 「・・・[そんなに強調して言わなくてもいい]じゃんか・・・[二回も]。じゃあ、無難にお菓子にする?」 「・・・あぁ、定番のアレでいいだろ。」 風雅の言葉で渋々ではあるけれど、[ペアのキーホルダー]を諦める私。 そして、私達は帰路へと着いた。 今度はお父さん達も一緒に行けるといいな、なんて・・・そう思いながら、私は眠りに落ちる。 そして、その翌日・・・私は地味に全身の筋肉痛に悩まされる事となった。
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