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「雨・・・さっきより酷くなってない?」
「・・・・・・そうだな。」
買い物が終わって外に出たら、出掛ける前は弱まっていたハズの雨が豪雨へと進化を遂げている。
・・・・・・家に帰るの面倒臭ぇな。
そして、俺達は傘を持っていたにも関わらず、全身びしょ濡れで帰宅した。
「先にお風呂入っちゃっていいの?風邪引いたりしない?大丈夫、風雅?」
「・・・そうやって俺を心配する暇があるなら、さっさと入れ。本当に風邪を引かせてぇのか、お前は?」
「んな訳ないじゃん!!ありがとね、風雅!!」
風呂に入る順番について、俺と[地味に長い押し問答をしていた]雅に無理矢理着替えを持って来させ、強制的に風呂へと入らせた。
雅は自分の事よりも人の事を優先し、心配してしまう時がある。
まぁ、それが雅の良いところでもあり・・・悪いところでもあるんだけど。
[俺は男]で・・・[雅は女]なんだ。
俺が雅を優先するのは当然の流れだと思う。
アイツもその辺をもう少し理解したらどうなんだろう?
「・・・それにしても、凄ぇ雨だな。」
濡れた服を先に着替え、タオルで頭をゴシゴシと拭いていると、天気がさっきよりも更に悪化していた。
どうやら、雨は強風までもを味方につけたらしい。
ブンッ
これじゃ、まるで台風だな・・・と。
リビングのガラス戸から外の様子を眺めつつ、そんな事をぼんやりと考えていたら[家が突然、停電した]。
あっ、これ・・・[一番ヤバいパターン]だ。
「ギャアアァアーッ?!」
停電したと同時に、風呂場から[なんとも可愛くない叫び声が響いてくる]。
・・・[女らしさの欠片もねぇ叫び声]だな。
そんな事を思いながら、俺は携帯の明かりを頼りに風呂場まで向かった。
「ただの停電だ・・・こんな天気だし、どっかの電線が切れたんじゃねぇか?まぁ・・・しばらくすりゃ、直んだろ。」
風呂に入っている雅を落ち着かせようと、扉の前でそう声を掛けてみる。
[雅は暗所恐怖症]だ・・・それも[異常な程の]。
今の雅は、きっと・・・酷い不安と恐怖で心細い思いをしているに違いない。
・・・さて、どうしたもんかな?
「・・・風雅、そこにいる?」
「・・・・・・あぁ。」
[雅の声が震えている]。
・・・・・・やっぱり怖いんだろうな。
「あ、あのさ?停電・・・[早く直してくんない?]」
「・・・・・・[俺に一体、どうしろと?]」
流石に俺には無理だ・・・停電を直すなんて神技は。
そういう専門的な事はその道のプロに任せるしかない。
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