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『そういう訳だから、風雅から雅ちゃんに伝えておいてくれる?こんな事もあろうかと、[一日多く休みを取っておいて良かった]わぁ~。それじゃあ、また明日ねぇ、風雅♪』
「・・・おいっ、お袋?!」
ガチャッ!! ツーツー・・・
そして、俺の叫び声も虚しく・・・お袋は無情にも俺との通話を遮断した。
「紗綾さん、なんて?」
「お袋達・・・この天気で電車が動かねぇから、帰るのは明日になるってよ。」
電話の役割を終えた俺の携帯を雅に渡す。
携帯を渡したにも関わらず、雅はピッタリと体をくっつけ、俺の左腕に自身の両腕を絡めて離さない。
つまり、何が言いたいのかというと・・・[雅は俺と腕を組んでいる]という事。
更に[雅は上目遣いで俺を見上げてくる]ときたもんだ・・・それも[潤んだ瞳で]。
[蛇の生殺し]ってのは・・・[まさにこういう事を言う]んだろうな。
俺は[ついさっき体験して学んだ]事を・・・もう一度、頭の中で反復した。
雅は暗所恐怖症だから、意図せずに[こういう行動をとってしまう]という事は分かる。
[無意識に男心を煽る]雅は・・・半端ない魅力と威力を持ち合わせていた。
・・・・・・耐えろ、俺の理性。
「そっかぁ~。お父さん達、今日帰って来れな・・・あ、れ?」
「・・・・・・雅?」
ドサッ!!
内心で色々と葛藤していると、俺の携帯を手に持ったままの状態で・・・雅が[何故かいきなり倒れた]。
「雅?!おいっ、どうした?!」
柄にもなく、俺は珍しくも語気を荒げた。
[こんな状況と状態で]・・・普段のように冷静でいられる訳がない。
「あ、れ?お風呂で逆上せたのかな?少しだけ安心したら気が抜けたっていうか・・・頭がクラクラしてきちゃって、さ。」
「・・・ったく、心配掛けさせんなよ。」
「えへへ、ごめんね?でも、[珍しいもの見ちゃった]な。風雅が慌ててるところなんてさ・・・あんまり見る事ないもんね?」
[雅が何も知らねぇだけ]で・・・[俺はいつも内心慌てまくり]だよ。
それに・・・[今だってそう]だしな。
雅を休ませるなら、リビングのソファーでも別にいいとは思うんだが・・・それよりも、やはり自分の部屋で休ませた方がいいんだろうか?
さて・・・どうしたもんかな?
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