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「・・・リビングのソファーか自室のベッド。どっちか好きな方を選ばせてやるよ・・・選べ。」
・・・・・・あれ?
風雅のテンションがいつもと違って、なんかおかしい。
「選べって・・・なんで?」
「お前は[その状態で]・・・[固いフローリングの床に寝そべったまま]でいるのか?」
あぁ、なるほどね!!
確かに[フローリングの床に放置されたままの状態は結構キツい]なぁ~。
「じゃあ、ベッドで。」
「・・・・・・マジか。」
「えっと、あのさ?自分で聞いておきながら・・・なんで、ため息吐く訳?」
[フローリングの床に寝そべったままの状態で]、風雅とそんな会話を交わす私。
・・・・・・えっ、なんかおかしくない?
「まぁ・・・こればっかりは流石に仕方がねぇか。一応、言っとく・・・[暴れんじゃねぇぞ]、雅?」
「はい?ねぇ、それどういう意・・・キャアッ?!」
「・・・[だから、前もって言ったろ?]・・・暴れんじゃねぇぞ、ってな。」
すると、風雅が[突然、私を抱き上げた]。
これはあれだ、少女漫画とかでよく見掛ける・・・所謂、[お姫様抱っこ]というやつだな・・・
「なっ?!ちょっと待って?!下ろして、風雅!!」
[なんて思ったのも一瞬だけ]で。
現状を理解した私は風雅に対してすぐに抗議の声を上げ、あまりの恥ずかしさに抵抗の意を示す。
「別に・・・下ろしてもいいけど。雅さ・・・[自分の部屋まで歩けんのか?]」
「・・・私、重くない?」
「・・・・・・歩けねぇのかよ。」
しかし、[その抵抗は早くも無駄に終わった]。
風雅はまた一つ大きなため息を吐くと、そのまま部屋まで続く階段を上って行く。
うわぁ・・・人生初のお姫様抱っこだ。
ちなみに、小さい頃にお父さんからしてもらったお姫様抱っこは[勿論、ノーカウントで]!!
それにしても・・・
「風雅ってさ・・・結構、力あるんだね?」
「そりゃあ・・・[俺も男だから]な。雅ぐらいなら・・・まぁ、余裕で運べる。」
「そういうもん?」
「・・・そういうもん。」
そっか・・・私と違って、風雅は男の子だから、それなら少しは納得・・・って、出来るか!!
おんぶならまだしも・・・[高校生にもなって、お姫様抱っこ]って?!
恥ずかしいって事には変わりないよ!!
「・・・なぁ、雅?暗いのが怖いのは分かるけどさ・・・[せめて、俺の足元ぐれぇは照らしてくんねぇかな?]・・・[二人して階段から転げ落ちる]ぞ?」
「はい、すみませんでしたっ!!」
風雅のその言葉に、私は慌てて携帯の明かりを足元に向けた。
それでも、やはり視界が悪いのか・・・風雅はゆっくりとした足取りで階段を上る。
私は私で落とされないように足元を照らしつつ、風雅にしがみつく形となっている。
フム・・・[こやつ、意外に筋肉質]だな。
と、そこで私は[ようやく今になって]、[風雅も男の子なんだなと納得した]。
それにしても、[さっきから暑い]な・・・まぁ、お風呂で逆上せたからだと思うけど。
[今が停電中で良かった]かもしんない。
風雅に・・・[私の顔が真っ赤になってるところを見られなくてすむ]から。
そんな事をぼんやりと考えていたら、風雅は私を無事に部屋まで運んでくれた。
おぉ、流石は男の子。
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