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『みやびちゃん、皆でかくれんぼしよう?』
『いいよ!!誰が鬼やる?』
[あの日]・・・私は友達と公園で遊んでいた。
小学校に入学して初めて訪れた夏休み。
私は学校で仲良くなった友達数人と、お昼前に公園でかくれんぼをする事になった。
『えぇ~、わたしが鬼なの?』
『ジャンケンで負けたから仕方ないよ。じゃあ、隠れるから数えてね!!』
そう言って、私は公園内に隠れる場所がないか、辺りをキョロキョロと見渡してみる。
[この公園には初めて来た]けれど・・・[随分、広い公園]だし、隠れる場所は沢山ありそう。
『ここにしよっ。』
公園に向かう道中、友達からこの公園は近所のおじいちゃんやおばあちゃんが日曜日によくゲートボールをしているという話を聞いた。
だから、この公園にはゲートボールの道具を置く用の小さな物置がある。
私はその物置の中に隠れる事にした・・・一昨日の雨により、[『老朽化の為、開閉注意』という張り紙が剥がれ落ちていた]物置の中に。
『狭っ?!でも・・・一人ぐらいなら入れる、かも。』
[立て付けの悪いガタガタする引き戸を無理矢理開け]、コッソリと物置の中に入り、身を潜める。
乱雑に道具がしまい込まれた物置は、かくれんぼで隠れるのにはピッタリだ。
けれど、物置の中はゴチャゴチャしているので[スペースはあまりない]。
どうにかして物置の中に隠れられるように私はなるべく体を小さくして、なんとか自分が座れるだけのスペースを確保した。
まぁ、そのおかげで[必然的に体育座りをする事になってしまった]けれど・・・お尻、痛いな。
『もういいかーい?』
『『『もういーよー!!』』』
友達全員の返事を聞いて、鬼になった子がパタパタと走り回る音が聞こえる。
どうせ、すぐに見つかるんだろうなぁ~・・・[私はかくれんぼが下手だから]。
その時の私はそう思ってたんだ。
でも・・・[現実はそんなに甘くなかった]。
『あれぇ~?みやびちゃんは?』
『『知らなぁ~い。』』
先に見つかってしまった友達は、鬼になった子にそう言っているのを物置の中で聞いた。
・・・早く見つけてくれないかな?
[この中、窓がないから暗い]し・・・[凄く暑い]んだもん。
私は体育座りの体勢で汗だくになりながら、友達が見つけてくれるのをただひたすら待っていた。
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