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「・・・[もっと、俺を頼ってくれていい]からな?」
「えっ?ごめん、風雅。今、何か言った?」
「・・・・・・なんでもねぇ。」
風雅が何か言っていたような気がするけれど・・・[暴風のせいで何を言ってるのか全然聞こえなかった]。
・・・今、なんて言ったんだろう?
あぁ、そういえば・・・どうやら、私は本当に結構長い時間、寝て(失神して)いたらしい。
外を見てみれば、空はもうすっかり真っ暗だった。
大人しく布団に潜り込んだ私はチラリと風雅の顔を覗き見る。
「・・・・・・なんだよ?」
「う、ううん。なんでもない!!」
そして、風雅とバッチリ目が合ってしまった。
私は慌てて風雅から視線を逸らす。
「やっぱ・・・[なんでもなくない]。あのさ、風雅?その・・・私が寝るまででいいんだけど・・・[手、握っててくんない]、かな?」
「・・・・・・ガキか、お前は?」
呆れたような言葉を返す風雅に、私はムッと頬を膨らませた。
べ、別にそんな事してもらわなくても・・・夜はちゃんと眠れるんだからね!!
・・・・・・[電気は点けたまま]、だけど。
「・・・雅が寝るまでだからな?」
「・・・・・・本当?!」
そう言って、風雅は私の右手をギュッと優しく握ってくれた。
顔をプイッと横に逸らして、髪の間から僅かに見える耳は・・・[真っ赤に染めたまま]。
「えへへっ♪」
「・・・何がおかしいんだよ?いいから・・・お前は、さっさと寝ろ。」
なんだかんだ文句を言いながらも、[私を甘やかしてくれる]風雅はやっぱり優しい。
流石は[私のお兄ちゃん]!!
・・・・・・うん、そう呼ぶの止めよう。
なんか[別の意味で気持ち悪い]。
・・・私、[確かこの前も同じ事言ってなかった?]
さっきまで寝て(失神して)いたハズなのに、私は既にウトウトしている。
[風雅の側は居心地が良いな]、なんて・・・そんな事を考えながら、私は再び深い眠りに落ちていった。
「雅は・・・いつになったら、[俺を男として意識してくれるんだろうな?]」
私が意識を手放す直前、風雅がまたもや何か言っていたような気がする。
まぁ・・・やっぱり、何を言っていたのかまでは分からなかったけれど。
風雅の優しさのおかげで、私はそのまま安心して[朝までグッスリと熟睡した]。
「・・・ゴホッ、ゴホッ。」
「珍しいわねぇ~、風雅が体調を崩すなんて。大丈夫、風雅?ご飯食べれそう?」
「・・・・・・いらねぇ。」
「えっと・・・なんか、本当に色々とごめんね?」
そして、[風雅は見事に風邪を引いた]。
よくよく思い返してみると、[風雅は雨で全身びしょ濡れのまま、私の面倒を見てくれていた]上に・・・私達は夕飯を食べていなかった事を思い出す。
そんな中、お父さんと紗綾さんは昼頃になって、ようやく家へと帰って来た・・・[定番のアレを片手に]。
お父さん達が帰って来た日、[風邪を引いてしまった風雅の看病を誠心誠意込めてする]、と。
私がそうやって密かに心の中で決意したという事は・・・もはや、言うまでもないだろう。
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