働き者

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ある国では人手が足り無い程に仕事が多く、求職者が溢れる程に仕事が足りなかった。 そんな矛盾溢れる国で、働き過ぎて精神を病んでしまう者も多くなり、仕事を与えられずに自殺者が増えていく。 重く見た政府は知らんぷりを決め込んでいたこの事象に対して措置を取り、国会で法案を通した。 『仕事一定量法案』 これは仕事を一日7時間以上させない。と言う物である。世の中企業しては倒産する位仕事があるのに どうすれば全部チェックできるのか? そこで監査する為の求人を増やした。これが運良く成功してバランスが取れた。ように見えた。 今度は別の問題が起きる。 企業で馬車馬の様に働かされていた者は、余った時間の使い方が分からなくなっており、浮いた時間を持て余し抜け殻の様になる者や仕事を真面目に働かなくなる者等が出て来た。 監査側で働く者は膨大な量の会社を見なくてはいけない。そして、そこで働く者は今まで仕事を乞うほどに働いていなかった時間が長かったので急に対応出来ず7時間と言う時間では足りなかった。 その為に慣れる迄の間に辞めていく者も増え始めて来た。 そんな国の問題は毎日ニュースで流れ、コメンテーターはあれやこれや。と見解を述べている。 そんなニュースを見ていた一人の子供が呟いた。 「働く。って何だろう?」
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