1人が本棚に入れています
本棚に追加
「ばあちゃん、今日はちゃんとカギ閉めて!」
「何言ってるんだ、ナオユキ。今までそんなこと言わなかっただろ」
リビングにはばあちゃんだけでなく、どこかに出かけていた父さんと母さん、それにじいちゃんもそろっていた。
「疲れたんじゃない? 今日は早く寝るのよ」
半ば押し出されるようにして、僕は部屋へと押し込まれる。
「話ぐらい聞いてやったらどうなんだ」
その時、じいちゃんが口を開いた。
普段無口で頑固、昔気質のじいちゃんで、少し苦手だった。
だが、この時だけは僕の唯一の味方のように感じた。
僕は今日あった出来事を、事細かに話した。
するとじいちゃんもばあちゃんも次第に顔を青くして、家じゅうのカギを閉めて回った。
「いいか、よく聞け。今日はどんなことがあっても、扉を開けてはならん。もし開けてしまったら」
「開けてしまったら?」
僕が尋ねた時、ドアをドンドンと叩く音が聞こえる。
「誰かしらね、こんな時間に」
「母さん、今の話聞いてなかったの?」
「聞いてたわよ。だけど、私がいたころはそんな話聞いたことなかったわ。ナオユキ、あなた夢でも見たんじゃないの?」
「夢じゃないよ、本当だって」
そう問答していると、ドアの向こうから声が聞こえてくる。
最初のコメントを投稿しよう!