狛狐の穏やかな日々

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空が茜色に染まる前 「ぐはあぁぁぁ~……っ。…………喧しいからはよ帰れ、童ども」 突然、ハクは欠伸と共にそうゴチると、ムクリと起き上がりヒョ~ィと鳥居の上に移動した。 それまで、飽きること無くニコニコと子供達を眺めていたコンは空に視線を向けた。 「ん?ホンマや。……そろそろ日が暮れるで、お子らは帰らなアカンよぉ」 そう子供達に声を掛けたコンはハクに苦笑いをした。 「ハクはホンマ、素直やないなぁ。そんないけずな事言うとったらアカンで」 そんなやり取りなんか人間が気付くわけがない。 人間には八百の神々や眷族が見えないのだから。 その証拠に、子供達は元気に遊び、参拝に訪れた大人は神主と世間話をしている。 しかしミヨは違った。 突然社の上を見上げ、鳥居へと目を向け又、屋根を見詰めた。 「たまちゃ~ん、かず兄。そろそろ帰ろう」 ミヨに云われて空を見た一男。 「ん?…………そうだな。おーい!そろそろ日が暮れるから帰るぞぉ~!」 一番年上の一男が大声で呼ぶと、わらわらと子供達が集まった。 「ほら、神さんに挨拶して行くぞっ」 そう一男が言うと子供達は社の前に並び、手を合わせた。 「「今日も1日ありがとうございましたっ」」 その様子にコンもハクも頬を緩ませ頷いた。 「ハイ。気ぃ付けて早ぅお帰り」
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