狛狐と神様

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『雷神風神の喧嘩が始まるで』 『又かい』 『今回は厄介だぞ。雷神が佐保姫の衣を駄目にしたらしいからな』 『佐保姫って誰だよ』 『あ?知らないのか?風神が可愛がってる春の女神だよ』 『へぇ~……それで?』 『春風ってあるだろ。ふたりがアハハウフフって飛び回って、腰の重い冬将軍達を追い払ってるじゃねぇか』 『あぁ~アレね。で?』 『佐保姫が染めた衣を雷神がうっかり破っちまったってよ』 『・・・それだけ?』 『・・・あぁ、それだけ。 荒くれ共の大将だぜ。わかるだろ? ここら辺戦場になるって妖し皆、アッチの世界に避難してるぞ』 『此処にいたら確実に巻き込まれるな。ワシらも行くか』 ───そんなわけで、ここ最近異形を見掛けないのだ。 その代わり、怖い顔した神様や神様の遣いの眷族が増えた。
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