狛狐と神様

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雷神風神は女の姉妹神。 その姉妹神は気性が荒く、ほぼ半年周期で大きな姉妹喧嘩をするような神様だった。 そして、その眷族も二柱と同じく気性が荒く、小競り合いを起こす輩が多かった。 天候の一端を担う二柱とその眷族だ。その小競り合いでも激しい雨風が伴う。 さらに力のある姉妹神の喧嘩ともなれば、天災となる代物。 所謂、災害レベルの暴風雨を引き起こす。 そして、異形の話しに出た『佐保姫』と云うのは、白く柔らかな春霞の衣をまとう、若く可愛らしい春の女神で風神のお気に入りだ。 染めものや機織を司っていて、風神雷神の春夏用羽衣は佐保姫が仕立てた物を使用する。 ───因みに、秋冬用羽衣は秋の女神の龍田姫が染めた物だ─── 異形の話しは語弊があるが、つまりは今年仕上がった風神の羽衣が雷神の不注意で駄目なってしまい、春風を届けることができなくなった。 3月過ぎても春一番が吹かず寒いままなのはこのせいだったようだ。 初め謝っていた雷神も、風神のヒステリーに苛立ちそれに釣られるように、興奮して罵りあってる。 さらに、それに釣られた眷族たちもあちらこちらで小競り合いを………… 姉妹神のピリピリした険悪な空気を感じ取り、今回も八百万の神々は被害を最小限に抑えようと召集した。
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