プロローグ

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昔々、まだ人間が八百万(やおろず)の神々を信じていた時代 オンボロ神社がまだキレイで、たくさんの人がこの神社に訪れていた 鳥居横の建物は、50代に見える神主の住まい 白髪が混じった短めの頭髪、笑い皺がきざまれ少し垂れた目尻の神主は、いつも穏やかに微笑んでいた ひとつ目の、朱塗りの鳥居を潜ると目の前には50段の石段 その石段を上がり、もうひとつの朱塗りの鳥居を潜る 左手にある出水舎の屋根の上では、小鳥が鳴いている さほど広くない境内と狛狐の石像 参拝に訪れた大人のお喋りや、子供達の遊ぶ声が楽しげに聞こえる よくある穏やかな光景 眼下に広がるのは、よくある普通の村 昔々、二人(・・)の狛狐が人間を見守っていた頃のお話し─────
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