狛狐とミヨ

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もぞっ……と動くのに気付いたのはハクだった 「コン?……気付いたんか?」 「…………ハクか?……何処やここ……」 ゆっくりと頭を上げ辺りに眼を向けた 「山神の祠や。まだしんどいやろ?大国主命(オオクニヌシノミコト)少彦名命(スクナヒコナノミコト)に診て貰うまで、じっとしとき」 「私はどれぐらい寝とった?」 「ん?殆ど寝とらん。儂も着いたばかりや」 「────稲荷神社近──の一部が決壊し─────民家──崩壊して───」 不意に手当ての済んだ猿神の眷族達の話しに『稲荷神社』の言葉が聞こえ、ふたりはその眷族に詰め寄った 「ッ?!おいっ!ソコは何処や?!」 「崩壊って何があった?!」 「うわっ?!……か、川の堤防が決壊したのと、強風と落雷で近くの民家が崩───」 驚いたふたりは話を最後まで聞かず、神社周辺を残り少ない神通力を使い探った。 大体の村人は神社の下にある金子の屋敷に避難したようだ 子供達も其所にいるのが視えた。 それでも何人かはいない。 土嚢を積む作業で逃げ遅れたのか? 決壊した土石流に呑まれたのか? 崩れた民家の下敷きになったのか? いくら探っても視付けることが出来ない その時、焦る二人は微かな命と祈りを感じ取った 『・・・狐の神様……助けて下さい・・・』 ※大国主命は国造りの神として有名だが「病を封じる神(医療神)」でもある。 少彦名大神も大国主命と一緒に国造りをした神様。医薬の神でもある。
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