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「……ミヨや……」
「ッ?!ちょっ!待てやっ、コン!」
そう呟いたコンはハクが止めるのも聞かず素早く祠を飛び出した
「コン!儂が行くから戻れっ!」
コンを追うようにハクも飛び出す
「……私が言うたんや……来んほうがええって。……せやからあの子はあの家に留まってたんや……私のせいや……」
「何を言うとるっ!考えすぎやっ。コンのせいやないっ」
「せやけどあの子がっ!」
「儂が助けるからコンは戻れっ!」
「いやじゃっ!」
上空を疾風怒濤のように移動するコンに、追い掛けるハクの言葉は届かなかった
眼下のミヨの家は全壊していた
全壊した室内を神通力で視ると、ミヨは倒れたタンスに足を挟まれ、頭から血を流している
腕の中には守るように抱かれた大介がいた。
意識のないミヨは微かに小さな息を出しているだけ。
ミヨの願いだけが。祈りだけが未だコンとハクの胸に響いている。
『狐の神様助けて…………大介を助けて…………御願いします……弟を……』
ミヨの両親は外にいて助かったのだろう。
母親は家の前で子供達の名前を泣き叫び、父親は運び出すための道具と人を呼びに必死に走っている。
『ミヨ!弟をよう守ったっ。偉いぞ!後は儂らがおるから、もうちょい気張れっ!』
『大丈夫や、ミヨ。安心せい。私が助けちゃる』
ハクはタンスを退かすと大介を抱き起こした。
割れた何かで切ったのだろう。大介の腕からも血が流れている。
ハクは苦手ながらも癒しの力で傷口を塞いだ
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