たとえ二度と戻れなくても

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「あの、暁くん....」 「ん? どうしたの、お姫様」 「うっ....」 ずっと会いたいと思っていたけど、実際会ってみるとアニメで見てた時よりもカッコ良すぎて何も言葉が出てこない。 目を合わせて話すのが恥ずかしくなった私は俯いた。 だって、じっと私を見てくるんだよ? そりゃあ恥ずかしくなるよ。 さらさらな黒髪に吸い込まれそうになるほど綺麗な赤い瞳。 身長179センチで、150センチ以下の私からしたらかなり高い。 でも、そんな高身長な暁くんが私は好き。 帰宅部だから見た目は細身なのに、よく見ると、ほどよく鍛え上げられた筋肉がチラリと見える。夏服だから、わかりやすいほどだ。 暁くんは桜星学園に通う高校2年生。 ....って、暁くんの説明ばかりしててどうする私。 今はそれよりも.... 「暁くん。さっきの....私を待ってたって、どういう意味?」 「....あぁ、特に深い意味はないよ。それよりお姫様、散歩でもしない? ここから、少し歩いたところに星が綺麗に見えるスポットがあるんだ」 暁くんはそういって、私に手を差し出した。 「う、うん」 差し出された手を握り、私たちは歩き出した。 なんか....あきらかに話を逸らされた、よね? まさか、偽物? いやいや、そんなことあるはずがない。 「着いたよ。ね、凄く綺麗な所でしょ?」 「ホントだ。凄く綺麗....」 「でも、やっぱり....」 「....?」 「お姫様のほうが綺麗だな」 「....っ....////あ、ありがとう」 暁くんは爽やかな笑顔でそう言いはなった。 眩しすぎる笑顔、私には勿体ない。
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