156人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
それから、その場所でたわいもない雑談をした。
雑談というよりは、私が暁くんが本物か確かめるために一方的に質問責めをしただけなのだが。
暁くんの友人や家族のこと、それから趣味や休日に何をしているか。
全てが私の知っている情報と同じで、私は本物だと確信した。
だけど、それと同時に二つの違和感を感じ始めていた。
一つは、どうして暁くんは私に家には帰らないの? とか、どうして此処に来たの? って質問をしないこと。
私は暁くんが私に最初に言ったことを思い出していた。
思い返して見ると、それはまるで最初から私が此処に来ることを知っていたみたいな口調だった。
「....っ....」
ゾクッと寒気がした。なんだろ、ここに長く居たらいけない気がする....。
でも、現実世界に戻ることはできない。
二つ目の違和感、それは彼があまりにも優しすぎるということ。
アニメでは確かに爽やか系男子ではあるのだが、二年生になってからは年上に対して妙に腹黒いところがある。女子に対しては、小悪魔的なところも。
「....?」
ふと地面に目をやると一冊のノートが落ちていた。
そこには、「私と王子様の夢物語」とタイトル付きの....って、これ私の書いた小説!?
どうして、こんなところに....
私はすかさず、そのノートを拾った。
中身を確認するため、一ページ目を開いた。
すると、そこにはこう書かれていた。
ー0時ちょうど、ある教室の扉を開くと会いたい人に会うことが出来る
ただし、現実世界にはもう二度と戻れない
それでも君は俺に会いに来てくれる?
最初のコメントを投稿しよう!