5人が本棚に入れています
本棚に追加
「くそぅ……」
「お客さん、乗るの?乗らないの?」
茶番を見せられたタクシーの運転手は、かったるそうに負け犬の社畜に声を掛ける。
「うるさい、今はそれどころじゃない!」
虫の居所が悪い雷進の社畜が声を荒げる。しかし、天下の雷進の社員バッジにつられて停めたタクシーの運転手も流石に今の言葉にはカチンと来たようだ。
「こちとら仕事でタクシー転がしてんだ、冷やかしは見逃せないぜ!
ドライバー秘技『うるせぇ!とっとと乗れ!伊達に社畜ドライバーやってねぇぞ!』」
男を後部座席に詰め込められると、賃走に変わったタクシーは夜の高速をひた走る。
向かう先は、秩父の山奥。料金をガッツリ取る算段だ。
最初のコメントを投稿しよう!