1章

11/14
前へ
/46ページ
次へ
新聞部が活動中止になってから、一週間が経ち、七月の期末テストが無事に終わり、夏休みに入った。 夏休みの宿題は紅蓮から「七月中に終わらせること」とメールが来たので、それに従うことにした。紅蓮のことだから、八月も生徒会室に毎日来させるつもりだろうと、俺はやる気のしない夏休みの宿題のプリントを机に広げては、ため息を吐いた。 紅蓮は口は煩いからな……今月中までに宿題を終わらせないと、また例の反省文が待っている。それだけは嫌だと、俺は手を進めた。 とはいえ、反省文を出されても、反省文を書くとは言ってない。 * * * 夏休みに入ってすぐに宿題に取り掛かったおかげで、無事に夏休みの宿題は七月中に終わり、 俺は紅蓮と毎日のように生徒会室で生徒会の仕事をしていた。 確かに親友の紅蓮と一緒に過ごせるのはいい。だが、生徒会業務は、はっきり言って面倒だ。 早く放課後にならねえかなと考えていた。 大体、一日中学校に居るとか、これじゃあ夏休みの意味がないだろ……などと思っていると、紅蓮にドヤされた。 またも反省文か、というと 「そんなにいうなら、お盆までにする」 「……! ありがとな、紅蓮」 俺があまりに小さな子供のようにワガママをいうので、紅蓮がしびれを切らして、俺の意見を聞いてくれた。 それから、俺はお盆までの間、紅蓮と一緒に真面目に生徒会業務をした。 あっという間に、お盆前日になり、俺は明日からの夏休み計画を立てていた。 まぁ、家でダラダラ過ごすのが好きな俺に誰かと遊ぶ予定もないが。 紅蓮は一日中、家で本でも読んでそうなイメージが容易に想像出来る。 「お疲れ様、冬夜」 「ああ、紅蓮もな」 かなり頑張ったせいか、俺も紅蓮も疲れていたようで、互いの家へと真っすぐ帰った。 生徒会業務もない俺は夏休みを満喫した。とはいえ、八月中旬。 この炎天下の中、外に出るなんてありえなかった。 こうして家でダラダラして過ごしているのも、七月中に夏休みの宿題を終わらせたからだろう。 そういう意味では、メールで夏休みの課題を七月中に終わらせることとメールしてくれた紅蓮に感謝するべきだな。 それから、あっという間に夏休みは終わりに近づいた。 「夏休みっていうのも早いもんだな」 と、自分の部屋で呟いていると、俺の携帯に一通のメールが来た。
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

172人が本棚に入れています
本棚に追加