2章

2/14
前へ
/46ページ
次へ
俺と紅蓮は中学一年の初夏に初めて会った。 「授業なんて、かったるい。なんで、あんな簡単な授業のために息苦しい教室に居ないといけないんだ……?」 そう呟いては屋上で一日の半分を過ごしていた。 俺は所謂不良というやつで、教師と目が合うたびに説教を受けていた。 だが、星ヶ丘中学で俺の成績は常に上位だったため、まわりからは天才だと言われていたが、授業を毎回サボるため、全体の評価はあまり良くはなかった。 しかし、俺の威圧感に押されてか、誰も強く怒るものは居なくて、俺は教師達から見放されていた。 友好関係も上手くいかず、学校では一人で教室にいるのも苦痛。 そのため、学校の屋上で過ごしていたのだ。 そんな時だ、アイツに出会ったのは……。 「神崎冬夜。今は1時間目がもう始まってる。今からでも間に合うから、僕と一緒に教室に行こう」 「あ……? 誰だよ、お前」 「僕は如月紅蓮。神崎とは同じクラス。先生から頼まれたから、授業を受けさせようと思って此処に来た」 「俺は授業なんか行かねえよ……」 それが紅蓮との出会いだった。 それからというもの、紅蓮は毎日のように俺のとこに来ては授業に受けるように言った。 「だから、行かねえって以前にも断っただろ!? 俺のことなんか放っておけよ! なんで俺に構うんだ! 教師だって俺のことを見捨ててる。お前だって、教師に言われたから、俺に構ってるだけなんだろ!?」 その時の俺は、こんな言葉を言ったら、相手が傷つくんじゃないかという、人を気遣うという感情を持ち合わせてはいなかった。 そのため、言いたいことを言葉にしていた。 「僕は君を見捨てたりしない。教師たちは君がろくでもない大人になるって言ってる。けど、僕はそうは思わない。どうして、そうやって突き放そうとする? もう自分自身を傷つけたりしないでほしい……」 「っ……」 俺はその時の紅蓮の言葉に救われた。誰もが、俺のことをろくでもない大人にならない、問題児などと陰口を言って蔑んだ。 でも、紅蓮だけは違った。だから、俺は紅蓮と友人になったんだ。 気がつけば、俺と紅蓮は学校以外のことも話すようになっていた。
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

172人が本棚に入れています
本棚に追加