1章

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「ねぇ、神崎君と神崎紅先生って名字が一緒だけど、もしかして同一人物だったりする?」 「……そんなわけねぇだろ」 「だ、だよね」 「ごめんね、変なこと聞いちゃって」 俺が教室に入り、鞄を置くと同時にクラスメイトの女子が話しかけてきた。 俺は所謂、ギャル系女子があまり好きじゃない。 だからこそ、冷たい一言と話しかけるなオーラを一気に放つ。 俺の名前は 神崎冬夜 (かんざき とうや) 、星ヶ丘高校に通う高校三年生 。 中学三年から高校二年までは、親父の仕事関係でフランス留学をしていた。 黒髪で、身長は一般の高校生の平均より、かなり高く182センチ。 親父も身長が高いせいだろうか? 気がつくと、ここまで伸びていた。 さっきから、この教室の話題となっている神崎紅とは何の関係もない。 神崎紅は俺と同じ高校生でありながら、かなり有名なラノベ作家である。 高校生という以外の情報は謎とされているので、誰もが神崎紅の正体について知りたがっている。 なんで俺が神崎紅について、こんなに知っているかって? それは、俺も神崎紅のファンだから。 神崎紅のデビュー作『桜と6つの謎』、あれは普段、読書をしない俺でも続きが気になるほどの作品だった。タイトル通り、ジャンルはミステリーだ。 他にも『眠るアンドロイド』『片翼の天使と優しき死神』など、数々の作品を書いている。 文章だけで性別を判断するのは困難だが、神崎紅の作品はいずれも知性に溢れていると思う。これは、本を読まない俺個人の意見だが。
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