1章

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あっという間に午前の授業が終了し、昼休みになった。 俺は騒がしい教室よりも、静かな場所で食べたいと思い、生徒会室でパンを食べていた。 そして今朝、紅蓮に渡された反省文を眺めていた。因みに反省文は白紙である。 「反省文、これで何枚目だよ……」 と、ため息交じりに呟くと、 「反省文を溜めるほうが悪い」 そう言い放ったあと、紅蓮は俺の前のイスに座った。 弁当などを持っていないところを見ると、どうやら、教室か屋上とかで昼飯を済ませてきたようだ。 「紅蓮……い、いつから、そこにいたんだよ」 どうやら、俺の独り言は聞かれていたらしい。しかも、一番聞かれてはいけない奴に。 「冬夜が独り言を言った瞬間に来た」 「……」 なんてタイミングで来るんだよ。もう少し空気を読んで、生徒会室に来いよ……。 「冬夜、今、少しくらい空気を読んで生徒会室に来いって顔してた」 「あー……してねぇよ、そんな顔」 俺の心が読めるとか、紅蓮、お前は俺の何もかもを知りすぎなんだよ……。 「……」 「紅蓮、急に話さなくなって、どうしたんだ?  ま、まさか……怒ってんのか?」 「違う……。これを読んでた」 「ああ、本か。紅蓮、相変わらず本が好きなんだな」 いつの間にあったのか、紅蓮は本を片手に、今読んでる心理学の本を見せてきた。 「本は、様々な知識を得ることが出来る素晴らしいもの。冬夜も、たまにはマンガだけじゃなくて、普通の本も読むべき」 「……善処はする」 本の話になると、紅蓮は人が変わったようにキラキラと目を輝かせている。 よっぽど、本が好きなんだな……と思った。 何故なら、正確には、わずかだが、本の話をしている時の紅蓮は表情があるからだ。 それに嬉しそうで、楽しそうでもある。 親友の俺だからこそ、紅蓮のわずかな表情の変化でさえ気付けるのだ。 「あ、マンガ以外なら、最近ハマってるものあるぜ。ラノベって知ってるか?  あれは文章だけだが、ちゃんとストーリーもしっかりしてて、感動出来るつーか……神崎紅って知ってるか?  その人の書くラノベ作品はかなり……」 「本の話はもういい。……今から、今日残りの生徒会の書類をする」 「ぐ、れん……? わかった、俺も今日は手伝う」 「ありがとう、冬夜」 「ああ……」
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