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さっきまで本の話をしていて、紅蓮、お前から本を読むべきって話を振ってきたんだろうが、などと言いたかった。
だが、紅蓮の表情を見る限り、そういう余計な言葉さえ、お前を傷つけてしまうではないかと恐れ、俺は紅蓮の言われるまま、生徒会の書類を黙々とした。
なにか、紅蓮が気に障るようなことがあったんだろう。
とはいっても、本の話しか、してないよな?
コイツが急に態度が冷たくなったのは、ラノベの話からだ。
もしかして、ラノベはマンガと変わらないとか、そういうのか?
いや、それだけなら、コイツは俺に対して、すぐに反論する。じゃあ、何が原因なんだ?
「……あ……」
考えていると一つの結論にたどり着いた。
それは、俺が神崎紅という名前を口にしたから。
おそらく、いや、間違いなくそうに違いない。
一瞬だが、俺が神崎紅という名前を口にした途端、コイツは俺から視線を逸らしたから、この結論になったのだ。
だが、神崎紅はコイツが好きそうなジャンルを書いてるのにも関わらず、なんでコイツは、神崎紅を嫌うんだ?
確かに本人から、神崎紅のことが嫌いというのは聞いていない。
だから、嫌いまではいかないが、良くは思っていないということは確かだろう。
「なぁ、紅蓮。今日は寄り道でもしないか?」
俺は紅蓮が神崎紅について、どう思っているか探るために一つの作戦を考えていた。
「……本屋なら行ってもいい」
「わかった。じゃあ、学校が終わったら、一緒に本屋だな」
その作戦とは、紅蓮と一緒に本屋に行き、さりげなく神崎紅について聞くためだ。
とはいっても、あからさまな態度を見ているため、初めから、わかるとは思っていない。
今回は本音を言わない紅蓮から、ただ、さりげなく聞くだけ。
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