1章

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午後の授業が終わり、生徒会の書類も一段落ついた頃、下校時間のチャイムが鳴り、俺達は生徒会室の鍵を職員室に返却し、学校を後にした。 「でも、僕と二人で何処かに行きたいと言ってくるなんて、怪しい……」 「た、たまには親友と寄り道も悪くないだろ? それに新作のマンガもちょうど今日が発売日なんだ」 「親友の僕と行きたいというよりは、マンガを買いたいという欲求のほうが強い気がする」 「……ま、まぁ、それは否定しねえよ」 俺の誘いを疑うのは当然だ。俺は紅蓮とは中学からの親友とは言っても、互いの家が近いわけでもない。 紅蓮はアパートで一人暮らし、俺は両親と暮らしている。 別に俺のとこに門限があり早く家に帰らないといけないわけではなく、紅蓮は根が真面目なため、あまり寄り道などを好まないのだ。 だから、俺も自然と寄り道をせずに家に帰ることにしている。まぁ、たまに寄り道もしているが。 * * * 「僕は奥の文学コーナーのほうに行ってるから……」 「ああ、わかった。買い終わったら、マンガコーナーのほうに来てくれるか?」 「うん、わかった」 本屋に着いた俺と紅蓮は、互いの好きなジャンルのほうに分かれた。 俺は今日発売のマンガ本を手に取り、マンガコーナーの隣のほうにあるラノベコーナーへと足を運んだ。 「神崎紅の作品か……」 そこには「この本屋の売り上げナンバーワン」とポップには書いてあり、相変わらず、神崎紅の作品はすごいと改めて実感した。 「冬夜。新作のマンガは見つかった?」 「紅蓮、そ、そっちは見つかったのか?」 ふいに後ろから声をかけられ、驚いたが、ここは本屋。 大声を出すわけにはいかず、一旦、深呼吸をしては落ち着かせた。 「こっちはもう買った。でも、新作のマンガコーナーはあっちじゃないの?」 「あ、あっちだったのか。紅蓮、教えてくれてありがとな」 あからさまな態度をとりながらも、俺はマンガコーナーへと走って行った。 「……」 新作マンガコーナーから紅蓮の様子を見てみると、俺がさっきいたラノベコーナーの前で止まっていた。しかし、どのラノベも手に取ることなく、ただ見ているだけだった。 やっぱりラノベは普通の本と思っていないのか? それとも、神崎紅のラノベが陳列しているからか?
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