屋根を叩く音

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  「もしかすると、屋根の上に何か住みついているのではないだろうか」  ある日、横部君にお父さんから相談の電話があった。ご両親の家には梯子もなかったし、頼れるご近所さんもまだいなかったので、横部君に来て屋根の上の様子を見て欲しいと言うのだ。妙な音のせいで、健康だけが取り柄だったお母さんが体調を崩して寝込んでしまったという話も聞き、心配した横部君は週末にご両親の家を訪ねる約束をした。  週末まで日にちがあったので、横部君は取り敢えずご両親の家を、インターネットの地図サービスで見てみることにした。衛星写真で撮影された両親の家を拡大して見ていくと、横部君は目を疑うような物を見つけてしまう。  それは、ご両親の家の屋根にうつぶせで倒れている、人のような姿。  横部君はすぐにご両親に電話をして警察でも消防署でもいいから人を呼んで、屋根の上を調べてもらうようにと連絡する。しかし、駐在所の警官が屋根に登って調べてくれたが、そこにはなんの異常もなかったという。 「確かにその日、画像で見たときは人が倒れていたんです。オレンジのジャケットにカーキのパンツとリュックサック。登山用の装備を身につけているような男の姿が」     
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