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校舎を出ると、真上に昇った太陽からはジリジリと攻撃的な日差しが照りつけて、熱された路面からは陽炎が立っていた。
うわ、さっさと終わらせて早めに帰れば良かった。焼けるのやだな。
うんざりしつつ歩き始めると、校庭側からぞろぞろと人が出てきた。揃いの坊主頭、白黒ユニフォーム。野球部だ。
休憩なのか練習終わりなのかはわからないけれど、最悪のタイミングで出くわしてしまった。
その中の一人が私に気が付くと、「あ、あいつ…」と嘲笑の混じった小声をあげて、仲間内でヒソヒソとやっている。女子かよ。気持ち悪い。
無視して歩き出すけれど、集団の中に一人を見つけて一瞬視線を向けてみた。
笑い合う周りの中で、無表情でじっとこちらを見る目と目が合った。
反射的に反らしてしまった。急ぎ足で、校門へ向かう。
後ろからは「あー逃げちゃった」とか「お前が見るからだろー」とか、的外れな声が聞こえてきたけれど、彼の声は一度も聞こえてこなかった。
それにひどく、安心した。
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