第一章

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 それは、カップラーメンを食べていた時に見たニュースだ。 「本日のニュースです。人間は、遺伝子レベルで利己的であることが判明しました」  僕はハフハフ言いながら麺を啜り、  僕ら全員が利己的で、それでも『優しい社会』って、あるのだろうか?  そう、思った。 「越後屋から金を盗み貧しき人々に分け与えた罪、法によらずとも許し難い。よって市中皿回しの上ムチウチ獄門!」  昔は、そんな優しさがあった。…らしい。  今は昔じゃないから、良く分かんないや。  ところで優しさと言えば、 「地球に優しい」で始まるのが環境問題の常套文句だ。 「ひとに優しい」なんておくびにも出さない。何故だろう。  そこで考察。 「地球に優しい」は、傷ついた地球に対する慈善の心。 「ひとに優しい」は、傷つけた地球に対する賠償の心。  人間は、神様が自分に似せて創ったものらしい。つまりそれって神さまも遺伝子レベルで利己的で…。  いつか神様はテンバツをくだすと思う。  利己的な僕らが、自分のために他人を傷つけるように。それでも。 「人間は、利己的な自分一人では生きていけない存在なんだ」  と、トモダチは何度も言う。 「明日のニュースです。みなさん、利己的な優しさで地球も大切にしてみましょう。利己的な人に優しい社会ではなく、人に優しい利己的な社会にするために」  僕は、地球が遺伝子レベルで利己的でないことを切に願う。
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