事故物件の記憶

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「えっ、不動産屋に……でも助からなかったんですね」 「うん、担当の不動産屋さんが駆け付けた時にはもう息がなかったみたい」 「へえ、そうなんですね、でも確かにちょっと怖いですけど、ここもうほとんど普通の物件ですよね、ようするに病死ですし」 「うん、そうなのよね、幽霊とか変なことも今のところ起きてないし、あっ晩御飯も食べてくでしょ、何がいい?」 私の住まわせてもらっている下宿では基本的に煮物などの和食ばかりでしたので、パスタとか唐揚げが食べたいというと先輩は近くのスーパーに食材を買い出しに行ってくれました。 留守番をしている間に冷蔵庫にある野菜でサラダを作っておいてと言われたので、私は台所でレタスとトマトをボウルで洗い始めました。 そのときです、リビングの方から突然女の子のすすり泣く声が聞こえてきました。
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