事故物件の記憶

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「どういうこと、ここはあなたの部屋じゃないのよ」 私は努めて優しく語りかけましたが、女の子はやはりごめんなさいとばかり繰り返します。 「もう、ごめんなさいってなに、どうして私の言うことを聞いてくれないの!」 埒が開かない状況が続き、私はだんだんと苛立ってきました。 その煩わしさが募るとともに私はその少女の存在がとてつもなく邪魔なものに感じるようになってきました。 気が付くと私はその女の子の首を両手で掴んでゆっくりと絞め上げていました。 「あなたが、あなたさえいなければ!」 苦しそうに女の子は私の腕を握り締めて、私の手から逃れようと足をバタバタさせました。
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