二人旅

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 おそらくは、彼にまだ未練のある元カノの生霊が、ずっと彼について一緒に旅行してたんでしょうね。  その姿が、行く先々の人々の目には見えていたっていうわけですよ。まあ、言ってみれば「知らぬは本人ばかりなり」っていうことですね。 「今回のことで思ったんですが、死んだ人の霊よりも、()が現在進行形な分、生きてる人間の霊の方が恐ろしいかもしれませんね」  テーブルの上に置かれた二つのコップを見つめながら、彼は最期に、しみじみとそう言ってこの話を結びました。                            (二人旅 了)
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