遠回り

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「たまには遠回りしてみようか」 仕事が定時で終わったので、気分転換に違う道から帰宅することにした。 時刻は午後5時過ぎ、空を見上げると大きい雲から オレンジ色の夕日が顔を出している。 住宅街をしばらく歩いていると、小さな公園を見つけた。 前を通過しようとした時、ふと足が止まる。 「ばいばーい!また明日!」 「じゃあな!」 子供達が元気な声で、腕をぶんぶん振る姿。 僕は、昔一緒に遊んだ友人達と自分の姿を重ねながら見ていた。 学校を卒業し、大人になってから時間があまり取れず、 疎遠になっている。 「久しぶりに連絡してみるか」 僕は携帯を取り出し、友人の名前を探す。 いつの間にか頬が緩んでいた。 再び公園の中を見ると、昔の自分が立っている。 こちらを振り向き僕の顔を見ると、あの頃の僕が笑っていた。
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