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もっと自分が若ければ、今頃そこに居たのは自分だったはずだ。
いつだって傍で守ってやれたはずなのに……。
でも…もっと若ければ、優衣香をあの父親の元から救い出す事はできなかったのだろう。
タバコを携帯灰皿に押し付けると、優衣香から目を逸らし、逃げようとした。
優衣香にとって、今が青春なんだ。
そう言い聞かせて、目を伏せた瞬間……。
「俊ちゃん!!」
優衣香のよく通るきれいな声が、家々の壁に反響して響き渡る。
それと同時に駆けてきた優衣香が手を伸ばし、驚いていた俊介に抱きついた。
腰に手を回し、ギュッと抱き着いてくる。
「俊ちゃん……」
揺れる髪の毛の一本一本が愛しい……。
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