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そっと髪に手を伸ばし、頭を撫でると、優衣香の腕の力が少しだけ強くなった。
「ただいま…優衣香」
そっとその肩に手を伸ばし、抱き寄せると、優衣香が顔を上げる。
「おかえりなさい。ちゃんと…待ってたの」
5年も経てば人は変わる。顔だって、声だって、性格だって……。
「きれいになったな。前よりずっと美人になった」
そう言ったら、優衣香は見た事のない表情で笑った。
「俊ちゃんもかっこよくなった……。それに…甘い匂いがする」
タバコの匂いよりも染みついてしまったお菓子の匂いに、優衣香は反応したようだ。
「毎日、甘いもんばっか作ってるからな」
そう言った後、優衣香の後姿を黙って見ている青年に視線を向けた。
円華が言っていた、『お隣の学くん』…なのだろう。
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