再会

11/25
前へ
/412ページ
次へ
そっと髪に手を伸ばし、頭を撫でると、優衣香の腕の力が少しだけ強くなった。 「ただいま…優衣香」 そっとその肩に手を伸ばし、抱き寄せると、優衣香が顔を上げる。 「おかえりなさい。ちゃんと…待ってたの」 5年も経てば人は変わる。顔だって、声だって、性格だって……。 「きれいになったな。前よりずっと美人になった」 そう言ったら、優衣香は見た事のない表情で笑った。 「俊ちゃんもかっこよくなった……。それに…甘い匂いがする」 タバコの匂いよりも染みついてしまったお菓子の匂いに、優衣香は反応したようだ。 「毎日、甘いもんばっか作ってるからな」 そう言った後、優衣香の後姿を黙って見ている青年に視線を向けた。 円華が言っていた、『お隣の(ガク)くん』…なのだろう。
/412ページ

最初のコメントを投稿しよう!

450人が本棚に入れています
本棚に追加