再会

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「いつも優衣香を送り届けてくれてありがとう」 本心かと訊かれれば、それは違うけれど、一応お礼は言うべきだろう。 青年は一瞬身をこわばらせたが、すぐに頭を下げてきた。 悪い奴じゃなさそうだが、牽制は必要だ。 優衣香の身体を抱き上げ、その口唇に軽くキスをした。 驚いて目を丸めた表情の後、 「タバコの匂い……」つぶやいて、口唇を指先で撫でる。 「やめなきゃいけないんだけどな。なんか…やめられねーんだよ」 お菓子作りを続けるならタバコをやめろと言われた。 優衣香に会えなくなってから始めたタバコは、会えない苛立ちを鎮めるのに必要だった。 「お前がいればやめられそうだな」 また頬に口付けると、顔中真っ赤に染めて首にしがみついてくる。 「もう…エッチ……」 その反応が懐かしすぎて笑えてきた。
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