再会

14/25
前へ
/412ページ
次へ
「優衣香…嬉しいよ。お前、ちゃんと成長してたんだな」 俊介がそう言って優衣香の顔を覗き込むと、優衣香は頬を赤らめながら目を伏せた。 「俊ちゃんの、おかげ…かな?」 あの日…あの地獄から俊介が救い出してくれなければ、今頃死んでいたかもしれない。 父の暴力に怯え、日々の食事もまともに摂れず、未来なんて無かったかもしれない。 「だろ?俺のおかげだ。あんな男と仲良くしやがって……」 嫉妬していると分かれば、優衣香は視線を上げて俊介の顔を覗き込んだ。 「どれだけ私が会いたいと思ってたか…知らないくせに」 鼻先を合わせれば、俊介の口唇が肌に触れようと近づく。 でも、優衣香は鼻先だけ離れないようにして俊介の頬に両手で触れると、その口唇から逃げようとする。 「会いたかった……」 どちらからともなく、かすれた声でそうつぶやくと、優衣香の口唇が俊介の口唇に重なった。
/412ページ

最初のコメントを投稿しよう!

450人が本棚に入れています
本棚に追加