450人が本棚に入れています
本棚に追加
「優衣香…嬉しいよ。お前、ちゃんと成長してたんだな」
俊介がそう言って優衣香の顔を覗き込むと、優衣香は頬を赤らめながら目を伏せた。
「俊ちゃんの、おかげ…かな?」
あの日…あの地獄から俊介が救い出してくれなければ、今頃死んでいたかもしれない。
父の暴力に怯え、日々の食事もまともに摂れず、未来なんて無かったかもしれない。
「だろ?俺のおかげだ。あんな男と仲良くしやがって……」
嫉妬していると分かれば、優衣香は視線を上げて俊介の顔を覗き込んだ。
「どれだけ私が会いたいと思ってたか…知らないくせに」
鼻先を合わせれば、俊介の口唇が肌に触れようと近づく。
でも、優衣香は鼻先だけ離れないようにして俊介の頬に両手で触れると、その口唇から逃げようとする。
「会いたかった……」
どちらからともなく、かすれた声でそうつぶやくと、優衣香の口唇が俊介の口唇に重なった。
最初のコメントを投稿しよう!