450人が本棚に入れています
本棚に追加
/412ページ
放課後、優衣香の学校が終わる頃に、学校近くの公園で待ち合わせをした。
昨日のように、かつての教え子に会うなんて笑えない。
明日から夏休みに入る優衣香は、セーラー服姿で走り寄ってくる。
長い髪を一本に束ねているから、走るたびに束ねた髪が揺れる。
涼し気なその姿を見て、俊介は目を細めた。
「遅くなってごめんなさい」
息を切らしながら頭を下げる優衣香は、あの頃と変わらず、どこか他人行儀だ。
まだ、ちゃんと心を開いてくれてはいないのかもしれない…と、思いながら、俊介はふっと笑った。
「慣れねーな、その制服も」
13歳の優衣香とは違う。背も伸びて、身体も丸みを帯びてきた。
あの頃にはなかった女性らしさが、今はある。
最初のコメントを投稿しよう!