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「紗代は抵抗することなく取り調べを受けているし、本木も自分の罪を認めてる。二人とも計画殺人というわけでもないし、少しは罪も軽くなるだろう。
だから…お前らは今後の事考えろ。せっかく店を構えたばかりだけど…今回ばかりは仕方ない」
マスコミに追われるようになってから店にも行けていなかった。もう何日経つだろう。
食材の事を考えると店に行くのも怖いと思ってしまう。
「じゃあ…帰るわ」
橋本はタバコをふかしながらリビングを出て行った。
起き上がる気力もない俊介は、だまってソファの上で目を閉じた。
自然と溢れ出た涙が頬を伝って落ち、ソファを濡らす。
これが宿命なら生まれてきたくは無かった。
父親が性犯罪者で人殺し…義理の母親も小児性愛者で血の繋がった孫を凌辱し殺した。
こんな家庭環境を誰が羨ましがるのだろう。
どんなに金持ちの家庭に生まれたって、絶対に幸せにはなれない。
きっとこれから先も親の罪を償っていくのは子どもなのだ―――。
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