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常にスーツを着ていたのに、ここにきてTシャツとジーパンという服装を好んで着るようになったし、円華と二人っきりで出かけたり、たまに泊まりで帰ってこない日もある。
おそらく本土に渡ってデートでもしているんだろうと思うが、俊介は口をはさむ事は無かった。
しばらく小松さんと話していると、二階の窓から優衣香がまた俊介の名前を呼んだ。
「俊ちゃん!早く夕飯の準備して!お客さん来ちゃうから!」
叫んだあと、小松さんを見て「小松さん、昨日はお野菜いっぱいありがとうございます!」とお礼を言っていた。
「いいのよ。優衣香ちゃん、すっかり女将さんね。それじゃあ、また」
小松さんがゆっくりとした歩調で家に入って行くのを見届けてから、俊介は家に入った。
家の塀には『民宿 優』の文字が並んでいる。
「もう!のんびりしてると終わらないよ!?私お部屋の確認してくるから、俊ちゃんは夕飯の準備して。それから、お魚届いてるからね」
エプロン姿の優衣香は頬を膨らませながらそう言った。
優衣香は来年、成人式を迎える。
ようやくハタチになる。
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