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今まで生きてきた中で学んだ事は何一つ無駄じゃなかったと、ここに来てよく分かった。
英彦は医師不足の島で医師として働き、みんなの心の支えになっている。
円華は自分が患ったうつ病の経験を活かし、毎日のように島にいる一人暮らしのお年寄りの様子を見に行っている。
優衣香は幼いころ虐待を受け、家政婦のような生活を送っていたから家事は得意だったため、民宿の部屋の掃除や予約客の管理などを行っていた。
民宿を始めた当初は素泊まり限定にしていたが、俊介は島の飲食店でお手伝いをしながら料理を学び、自分で料理を作るようになった。
おかげで民宿は少しずつ予約も増え、最近は予約がぎっしりつまっている。
外国からのお客さんも多いから、俊介の留学経験はここでも役に立った。
経験に勝るものなどない。
毎日忙しいし、そんな中でも趣味を見つけて楽しめるのは幸せなことだ。
「俊介ー!ちょっと、野菜いっぱいもらったから来て!」
玄関から円華の大声が聞こえて俊介はため息を吐いた。
こっちに引っ越してきてからやたらと人遣いが荒いのだ。
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