450人が本棚に入れています
本棚に追加
円華の家に着いてすぐ、俊介は荷物を置いて出掛けた。
円華からうるさいくらいどこに行くのか訊かれたが、答える事は無かった。
不動産屋に立ち寄り、いろいろ話を聞いた後、近隣のお菓子屋を覗いて歩いた。
やはり田舎はどこも繁盛していない。
夕方にも関わらず、売り物でショーケースが埋め尽くされていた。
この辺でケーキ屋をやるには無理があるな…と、思いながら、俊介は優衣香が通っている高校の前まで歩いて来た。
学生たちが校門から出てくる姿を見ながら、異質な存在を探した。
優衣香が出てきたら、すぐに分かる。
他の生徒と纏う空気も違えば、本来なら見えないオーラさえ、優衣香の場合は見えそうな気がする。
じっと校門を見つめ、その人が出てくるのを待っていると、誰かが声を掛けてきた。
「もしかして…俊介先生?」
最初のコメントを投稿しよう!