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「ガッくんなんでも器用にできちゃうからいいけど、私は不器用だから、いつも失敗しちゃうの。だから…別にいいんだ。特別にならなくていいの」
聞き覚えのある声に視線を上げると、あの異質な存在が近付いてくる。
黒く艶めいた髪をなびかせながら、この暑い日にも関わらず、汗ひとつかかずに、涼し気な表情を浮かべてこちらに近付いてくる。
「いつもありがとう。ここまでくれば大丈夫だから……」
ふと、振り返った彼女と目が合った。
「あ……」
言葉を詰まらせた彼女の瞳が、一瞬揺れた。
「優衣香?どうした?…知り合いか?」
男がこちらを見て顔をしかめる。
随分端正な顔立ちの男だった。身長も高いし、ガタイも良い。いかにも運動をしている感じ。
「優衣香?」
黙って立ち止まったままの優衣香の顔を覗き込むその男に、苛立ちを覚えた。
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