第一章 幸せってなんだ

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 家に引きこもって一日中漫画を読んだり、インターネットサーフィンすることが幸せな人もいる。  幸せの形は様々で、例え家族であろうと異なる感情なのだ。  ――じゃあ、俺にとっての幸せってなんだ?  俺には三歳年上の妻がいる。二歳半になる長女、八ヶ月になる次女の四人暮らしで、マイホーム、マイカーもある。世俗的に言う、幸せな家庭であることは間違いないだろう。  しかし、本当にそうなのだろうか?  幸せか? そう誰かに問われれば、間違いなく「幸せだ」と答えるだろう。妻は料理も上手だし、手前みそだが美人だ。子供も俺のことを好いてくれている。たまの休みの日は一日中ドラクエ状態で、俺の後ろをついて回るパーティメンバーになっている。  だが、俺は安月給で毎月家計は火の車。妻は専業主婦のため、俺の稼ぎだけで生活を保っている。赤字にはならないが給料が毎月全部飛ぶのだ。それがいつも憂鬱で「あとは金さえあれば……」などと心の中で呟くことが日に日に増えていく。  ――世の中、金だ。     
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