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なんとなく手を離すことの方が不自然に思えて、僕たちは夜が明けるまで河原で手を繋いで月を見続けた。
帰宅すると、僕は寝る前にしまい込んでいたアルバムをクローゼットの奥から引っ張り出した。
「……似てる」
そこに写る母さんは、湊と何処と無く似ていた。そして、湊よりももっと母さんに似た女性が母さんの妹だろう。
はっきり言って母さんの記憶は無いに等しい。
物心ついた時には父さんとふたりきりだったし、今の母さんとの思い出しかない。僕の母親は今の母さんだと思っている。
それでも大学に入ると僕は家を出た。と言っても実家からひと駅しか離れていない場所なのだが。
もう大木の家とは一生関わらないものだと思っていたのに。縁とは不思議なものだ。
別れ際、僕と湊は連絡先を交換した。
また、従兄妹として会おう、そう約束した。
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